From: 岡崎 匡史
研究室より
戦争において文化財への攻撃と破壊は禍根を残す。
戦争が終わっても、恨みが残ります。
略奪行為は禁止されていますが、戦利品として敵の物資を持ち帰ることは戦争につきものです。たとえば、太平洋戦争中、アメリカ兵は日本兵の金歯や頭蓋骨まで持ち帰った事例などがあります。
戦争の勝敗にかかわらず、戦利品をめぐり戦勝国・敗戦国の双方に憎しみを生む。いまでも戦利品の返還が、どこまで正確に実施されているのかは分かりません。
GHQは日本政府に、日本の兵士たちが占領地から持ち帰った物品を調査するように命じた。
占領地より取得せる物品の調査申告について
一、内務省令第四十七号解説
(一)目的
本令は連合軍の指令に基き日本軍隊の占領せる地域より昭和十二年七月七日以降取得せられた物品であって法令第一条には掠奪品とあるも所謂掠奪品のみでなく假令購入贈与を受けたものでも一切一應申告を要する
(二)申告を要する物品
貴金属、宝石、学術的歴史資料、機械設備、原材料、其の他総ての物品
(・・・中略・・・)
二、本令の実施要領
(一)趣旨の徹底
(1)県は地方事務所単位に市町村を招集し打合会を開催すること
(2)市町村は町会、部落会長に招集し打合会を開催すること
(3)隣組は常会及回覧板に依り一般に周知せしむること
(・・・中略・・・)
三、調査
工場、学校、図書館、研究会及県民の本物品の所有又は所持の有無について次の要領で調査すること
(一)工場、学校、図書館、研究会等の調査
(1)市町村は調査小票を工場、学校、図書館、研究会等に交付し町村は昭和二十一年十二月十五日迄に地方事務所へ提出すること
(2)市及地方事務所は調査小票を昭和二十一年十二月二十日迄に県に提出すること
(・・・中略・・・)
四、申告
(1)調査と並行して市町村は申告書(二通)を取纏め町村は昭和二十一年十二月十五日迄に地方事務所に提出すること
(・・・中略・・・)
五、臨検
県は調査班を編成して臨検すること
ー岡崎 匡史
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。