From: 岡崎 匡史
研究室より
1945(昭和20年)12月15日、GHQより「神道指令」が発せられた。
正式名は、「国家神道、神社神道ニ対スル政府ノ保証、支援、保全、監督並ニ弘布ノ廃止ニ関スル件」。
具体的な「神道指令」の命令は、、、
(1)国や地方公共団体、公務員などが神道を保護することの禁止
(2)神社、神道に対する公的機関の経済的援助の禁止
(3)公立の教育機関が神道の教義を広めることの禁止
(4)神祇院の廃止
(5)『国体の本義』『臣民の道』の配布禁止
(6)「大東亜戦争」「八紘一宇」などの国家神道・軍国主義を連想させる言葉を公文書で使用することの禁止
(7)国公立の学校、あるいはその職場に神棚を設置することの禁止
(8)公務員や一般市民、学生などが公の資格で神社や神道儀式に参拝することの禁止
学校教育と奉安殿
「神道指令」により、小学校に設置された奉安殿は撤去されることになった。政教分離を打ち立てるために、公教育で神道の影響を排除する必要があったからだ。奉安殿とは、御真影や教育勅語の謄本を保管するために設置された建物である。
さて、問題はここから。撤去されることになった奉安殿は、どのように処分されたのか?
地域によって、対応はさまざまだ。撤去された奉安殿を大切に保管した事例は、日本の各地域で確認することができる。しかし、大半の奉安殿はGHQの命令で撤去・解体された。
以下の史料では、奉安殿がどのような運命を辿ったのかを知ることができます。
昭和21年9月2日
元加治出張所長
各組合殿
奉安殿撤去の件
今回元加治国民学校庭の奉安殿を撤去することになりましたから奉安殿・玉石・植木と三つに区分して御希望の方は御入札下さいます様 組内皆様へ御知らせ願います
一、入札場所は元加治出張所
一、入札期日は9月10日限り
一、区長さん立合の前にて開要す
一、最高価格者へ拂下(はらいさげ)通知す
一、撤去期日は9月30日迄
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。