遺伝子組み換え食品
毎日の生活の中で一番待ち遠しい時、それは食事です。1日の平均食事時間は約1時間40分ほどあります。食事は私たちの生活の基礎です。食品産地の偽装や賞味期限偽装が発覚するたびに、私たちは大きな怒りを覚えます。
今後、大きな問題になるのは間違いなく遺伝子組み換え食品でしょう。日本にも現在、年間約1,600万トン以上が輸入されており、主に家畜の飼料やサラダ油に用いられております。
遺伝子組み換え食品については、アメリカでも神経を尖らせている人がたくさんおります。しかし一般人の多くは興味がありません。食べてどうなるのかも分からないので、それに対してどうして良いのか分からないのです。すなわち人体への影響に対する科学的な証拠がないのです。
諸刃の剣
遺伝子組み換え食品の世界的大手企業がアメリカにあります。モンサント社です。この会社は遺伝子組み換え技術を駆使した種をたくさん作りました。この種が曲者です。例えば小麦だと雑草に対して非常に強い。この種からはたくさんの小麦を作ることができる。
ところがこの小麦は、雑草を取るためにまく農薬の影響を受けなくて育つわけです。雑草を退治する強い薬に耐えるほどの小麦であるわけです。少し言い方を変えると、その小麦は、農薬をたっぷり吸収した土の中から栄養を取り入れて育ちます。
では、その小麦は安全なのでしょうか。科学的根拠がないので、ノーとも、イエスとも明確に言うことができない。
モンサント社の戦略
もう1つの問題は、モンサント社の種を使った場合、収穫された小麦からは、次回以降の小麦が育たないことが挙げられます。小麦を収穫し、その一部を来年ために植え、育てること。これは人類がずっと続けてきたことです。それが、モンサント社の種ではできない。
したがって小麦を作ろうとしたら、モンサント社の種を永遠と買い続けなければならない。そんな構図が出来ているのです。もちろんモンサント社はこの種の特許をとっておりますから、モンサント社の種で小麦を作り続ける限り、同社は収益を上げていく。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2016年9月下旬号「アメリカの食文化支配」-1
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。