減反政策
日本の食糧安全保障政策は危ういレベルにあるといって良い。ほぼ全てが輸入です。食糧の値段が上がって、もし日本の景気が悪かったら、海外の食糧も買うことが出来ない。
なぜこのような事態が生じたのか。この問題の根底には「政治の貧困」と呼ばれる状況があると思います。日本にたくさんあった、あの美しい段々畑は今どこに消えてしまったのか。政府は米を作らなかったら補助金をあげるという、農業とその従事者を小馬鹿にしたような政策を行ってきました。選挙のための票稼ぎで国の農業をつぶした、と言えるのではないでしょうか。
世界の人口が増え、食べ物の奪い合いになったとき、日本はどうするのか。米は十分に作ることができるのに、それもやらせない。これは大騒動です。
お米と大豆
お米があるところでは、大豆もたくさん作ることができます。田舎の風景をよく覚えています。
田んぼのあぜ道にはたくさんの大豆が植っていました。米を刈った後は大豆を育てました。大きくなる前に食べたかったら枝豆にもできました。そうした風景もなくなったし、それを知る人もほとんどいない。学校ではもちろん教えていない。
コンビニで時々おにぎりを買いますが、私は食べ過ぎて少し体調が悪い。しかし日本では農業の話をしない。お米の話をしない。日本の農業がダメになったのは、農協の責だとよく聞きますが、これは大間違い。悪いのは農協をいじめている政府です。
日本の農業技術
日本の農業は世界一と言われていた。改良の技術も高く、育て方も圧倒的に上手でした。
日本のイチゴは最高においしいです。握り拳ぐらいのイチゴが日本にもアメリカにもありますが、その味は比べ物にならない。日本のイチゴをガブっと噛むと甘い。アメリカのイチゴは酸っぱく、なかなか食べきれない。それほど日本の物が優れている。
そんな中で、お金をあげるから農業をやめなさいと、先生がたがおっしゃったわけです。若者も農業に興味を失っていきました。日本の農家の平均年齢は70歳前後でしょう。ここまで追い込んだ日本政治のバカさ加減には呆れます。
美味しいイチゴの作り方も、米の作り方も、ここで絶えてしまうかも知れませんが、そんなことを誰が望むのでしょうか。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2016年6月上旬号「人口爆発」-2
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。