フリゲート艦
戦後日本は、太平洋戦争の遺産を抱えています。そのうちの一つは、北方領土をはじめ、竹島、尖閣諸島といった領土にかかわる問題です。
2016年現在、懸案となっているのが尖閣諸島です。尖閣諸島は八つの島々から構成され、沖縄県石垣市に属します。中国海軍のフリゲート艦がこの尖閣諸島の接続水域に侵入し、挑発行為を繰り返しております。
領海とは、沿岸から12カイリ、すなわち約22キロメートルの主権が及ぶ範囲を指します。この領海からさらに12カイリいったところまでが接続水域と呼ばれます。接続水域に他国の船が通ることが、すぐに違法になるわけではありません。しかし慣習的には、国の庭先を横切るようなものです。
庭先に他の国の軍艦がやってくる。これは尋常な話ではない。威嚇です。庭先に戦車がやってきたら、誰だって恐れ慄くでしょう。中国海軍の狙いは、尖閣諸島の海底にある膨大な量の石油です。中国はこれを確保すべく、今あちらこちらの海を埋立地にしながら軍事基地を作っています。
日本人の領土意識
中国海軍が石垣市の接続水域に現れるという大問題が起きている中にあって、石垣島も、尖閣諸島の位置も知らない日本人が大勢おります。石垣に住む友人を訪ねたことがありますが、石垣島は本当に美しい島です。緑にあふれております。美しい海岸もあります。大きなハブちゃんもおりました。野生のクジャクさんもおりました。
石垣島から台湾までも近い。台湾から尖閣諸島までの距離と、石垣島から尖閣諸島までの距離は同じ170キロです。こういうところにも日本には「領土」があるのだ、というのを日本国民、とりわけ日本本島に住む人々は意識的に分かっていない。誰も教えてくれない。「名前だけは聞いたことがある」という程度でしょう。
領土というのは必死で守らないといけない。日本の領土はアメリカに殴られて小さくなりましたが、残された領土と島々を守らないといけない。本島だけが日本ではないのです。尖閣諸島を失うことになればこれは大騒動です。主権国家としての日本の立場が危ぶまれるだけではありません。石垣島の人々を守るという意味でも失格です。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2016年6月下旬号「尖閣諸島の情勢」-1
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。