著作権を守れ
ウィキリークスで流れたTPPの合意文書を読みました。ここには、「著作権」の保護期間についての記述があります。現在の保護期間は50年間です。しかし合意文書には、これを20年延長して70年間にしましょう、と書かれています。
背景には、米国産の有名なキャラクターがおります。おネズミ様です。彼を守るため、50年では短すぎると判断したのでしょう。ディズニーランドについても言えます。同じようなやり方をどこも真似てはいけない。ウォルト・ディズニーの遺産を永久に守ろうとしている。
特許申請しないものもある
本当に大切なものや技術は、「特許を申請しない」という選択もあり得ます。なぜか。特許はいわば設計図だからです。
中国はあらゆる特許取得に躍起になっていますが、そもそも特許についてのリサーチをするだけでも莫大なお金がかかります。よって中国は、そこにお金をつぎ込むより、特許庁へのハッキングに注力するでしょう。ハッキングされたら、すべての設計図が盗まれます。米国は今、中国のハッカーに怒り狂っている状況ですから、米国の反撃がはじまるはずです。
弾き出された中国のハッカーらは、次に日本の銀行システムに狙いを定めます。盗みたい技術がたくさんある。対策が出来ていないので、情報はいとも簡単に中国共産党の手にわたるのではないか。
日本に戦略はあるのか
安倍総理はハッキング部隊を作らないといけない。やられてばかりの日本で良いのか。現在のところ、対策を講じようとする動きも気概もない。
外務省は先ごろ、TPP交渉の大筋合意を受け、この協定が「戦略的意義」を有していると発表しましたが、何をもって「戦略的」と言っているのでしょうか。東南アジアとか、発展途上国との共存を実現していく過程で、なぜこんなにも大掛かりなTPPという仕組みが必要なのか。理解できない。
それぞれの国と個別に条約を結ぶことではダメなのか。アメリカに怒られるからTPPに参加せざるを得なかったのか。外務省にも、総理の取り巻きにも、アメリカ国務省のお友達がたくさんおりますから、「TPPを通してくれ」と、そんな話でしょう。
本当に戦略的な組織であれば、政府高官らの口を通して、「大きな戦略的意義がある」などと言わせない。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2015年11月上旬号「TPPと世界経済」− 2
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。