From: 岡崎 匡史
研究室より
はじめて飛行機に乗ったのは18歳のときでした。
飛行機に乗るのは憧れでしたが、歳を重ねてくると苦痛です。
時差ボケは1週間以上治りませんし、胃の調子も悪くなる。入国審査で待たされてイライラも募る。
飛行機のなかで「読書」をしたいですが、どうも気分が悪くなってしまう。ノートパソコンで「執筆」をしたら5分で飛行機酔いです。映画を観ることくらいしか、やることがありません。
そのなとき、面白そうだなと思って観た映画が『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(The Founder)でした。飛行機に乗る前日に、『食の実験場アメリカ』という本を読んでいたからです。
マクドナルド兄弟とレイ・クロック
誰でも一度は食べたことのあるハンバーガー。
マクドナルドの創始者は、モーリス・マック・マクドナルド(1902〜1971・兄)とリチャード・ディック・ジェイ・マクドナルド(1909〜1998・弟)の兄弟です。彼らは力を合わせて、1948年にカルフォルニア州サンバーナーディーノで開業した。瞬く間にマクドナルドのハンバーガーは大人気になります。
マクドナルドの成功に目を付けたのが、営業マンのレイ・クロック(1902〜1984)。彼は、マクドナルドのフランチャイズ化を提案する。しかし、マクドナルド兄弟は創業の味を守りたい。その一方でクロックは、調理方法や仕入れを合理化して、ファーストフードチェーンを展開したい。両者の関係は悪化してゆく。
最終的にはレイ・クロックが商権を買取り、軍配が上がります。ハンバーガー帝国が、世界中に展開していったのです。
自動車産業とファストフード
なぜ、マクドナルドは、世界中で受け入れられていったのか。その背景には、社会構造の変化がある。ファストフードは、自動車時代の幕開けと共に発展を遂げたのです。
マクドナルドは、自動車で移動する消費者をターゲットにした。自動車で走行中でも、一目で見て分かるようなデザイン(アーチや人形)の店構えにする。なぜなら、見知らぬ土地でも、すぐに店舗がわかるようにするためです。広大なアメリカのどこの土地でも、同じ味を提供することで、安心感を与える効果をもたらした。
さらに、車での移動中は、短時間で食事を済ませたい。
ファストフードの利点は、アメリカ文化に根付いているチップを払う必要がないことです。誰だって、食事の度にチップを払いたくない。ファストフードで食事を済ませることは、時間とお金の節約になる。だから、フーストフードは急成長をしたのです。
ー岡崎 匡史
PS. 以下の文献を参考にしました。
・鈴木透『食の実験場アメリカ』(中公新書、2019年)
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。