情報化社会と歴史学

by 西 鋭夫 July 15th, 2020

歴史観の重要性


私の情報網を根底から支えているものは歴史学です。

世の中は実に多様な情報で溢れかえっています。莫大な情報の中で、ポンポンと単に興味ある情報を掴んでいるだけでは意味がありません。私の場合、掴んだ情報が、私の底辺とつながらないと意味をなさない。

目の前でチラチラ動く映像や日々変わる情報に惑わされず、一つの映像や記事の意味をしっかりと理解するためには、歴史に照らして考えないといけません。ここで重要なのは、客観的な歴史的事実を多く知っているというレヴェルではなく、自分自身の歴史観があるかどうかです。


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今を捉える目


私の歴史観はかなり強いです。長い間、歴史を勉強しておりますが、単に事実を覚えるのではなく、常に私という軸とともに歴史と向き合ってきました。だから、歴史に対するフレームワークがある。

このフレームワークがあると、今起きている事件を一つ見ても、「これは、以前起こったことかどうか」「なぜ起こったのか」「今後、どのような展開を辿るのか」「社会がそれをどう記憶していくのか」「その事件の教訓とは何か」などが、一瞬でわかります。

逆に、歴史のフレームワークがない場合、今起きている事件は、初めて起こったよう見えます。ゆえに混乱して、対応を誤るわけです。

安倍総理の携帯が盗聴されていることに多くの人が驚きました。しかし真珠湾攻撃のとき、すでに日本軍の暗号は解読されているのです。当時のことから何も学んでいないので、未だにやられている。笑ってしまいますが、冗談じゃない。


雑学に執着してはいけない


雑学も重要です。ただし、そこに執着してはいけない。手当たり次第、情報を収集することも時に大切ですが、自分の底辺と「つながる」情報だけを大切になされたらよろしい。あとでゆっくりと吟味したらよろしい。

私もかなり多くの雑学に触れていますが、捨てるのも早いです。手元にやってきた情報が、大切か否か、真実か否か、が瞬時に分かるからです。

圧倒的な量の情報に触れる前に、自分自身の歴史観を持つこと、つまりはフレームワークを持つことが大切です。


西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年9月上旬号「米国メディア」− 11




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。