これからの人才をどう育てるか

by 西 鋭夫 June 1st, 2020

留学のススメ


日本はガラパゴス症候群に陥っております。したがって、これから日本を支える若者の皆さんには、外に出ることをお勧めします。日本では今、「グローバル化」とか「国際化」といった言葉を聞かない日はありませんが、世界で通用する人を育てたいなら、今の教育のやり方ではダメです。

日本では、特に明治時代以降、海外から先生を呼んで来て、外国語などを教えてもらうことが一般的でした。しかし、はっきり言いますが、これは何の効果もありません。

今、グローバル化した世界で使われている言語は英語だけです。英語を学習する一番早い方法は、15~16歳のときに海外に出ることです。1年間はちょっと少ないので、2年から3年くらいが良いでしょう。そうすると、日本の僕ちゃん・お嬢ちゃんの英語は、アクセントもなくネイティブ並みになります。私は22歳で出ましたから、英語を話すとやはり日本人アクセントがあります。15~16歳で出ると、日本人特有のアクセントがなくなり、非常に滑らかな英語を話せるようになります。


お孫さんへプレゼント


私が一番実践して欲しいことは、子供たちへの惜しみない投資です。お父さん、お母さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんへのお願いです。特にお祖父ちゃんとお祖母ちゃんには、貯金されているお金を全部孫に使い、アメリカの高等学校に行かせてあげて欲しいと思います。

アメリカの高校は4年間ですから、こどもたちは中3のときに向こうに渡るわけです。1人で渡るのが怖かったら、お母さんが付いて行ってあげなさい。お母さんは寮の隣のアパートに入居します。

1年も経つと、お子さんが「恥ずかしいからお母さんは帰ってくれ」「俺はママのベイビーじゃない」、と言うでしょう。こうして、世界で通用する日本人が育っていくのです。明治の男と女で後に出世したのは、全員、イギリスか、ドイツか、アメリカに留学した人たちです。


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世界に直に触れることの意義 


日本人はこのことをすっかり忘れてしまい、現在は、外からネイティブを連れてくるのです。問題はネイティブのレベルです。明治政府が呼んだのは、アメリカやイギリス、フランス、ドイツのトップたちです。莫大なお金を出して呼んだのです。

ところが今の日本が呼んでいるのは、世界レベルの外国人でしょうか。そうではありません。では、トップがいるところに行きましょう。早い方が良いです。帰国子女というのがおりまして、お父さんのお仕事とか、お母さんのお仕事の関係で、海外で生活をしていて向こうのインターナショナルスクールに行ったお子さんたちです。この人たちは日本語と英語、そしてインドネシアだったらおそらくインドネシア語の3ヵ国語を普通に話しています。

混乱するというのは大うそで、混乱はしません。うちの子供も日本語と英語を両方話しますが、日本語を話すときは日本語、英語を話すときは英語と、何も混乱していません。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年8月下旬号「大学ランキング」− 15




この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。