From: 岡崎 匡史
研究室より
学生の頃、西先生から言われて「はっとした」ことがある。
それは、「新聞記事をしっかり調べろ」というご指導である。まさに、研究の盲点をつく指摘だった。
新聞記事には、たくさんのヒントが隠されている。その時代の世相や状況を時系列で追うと、細かな状況証拠を掘り出すことができる。思いもよらない発見にも出くわす。
文献や公文書にも載っていない事実が、新聞記事に書いてあることすらある。調査している人物のインタビュー記事を見つけると心躍る。
虫眼鏡
現在のようにインターネットがない時代、大学や公立の図書館には『朝日新聞』の縮小版が置いてあった。
文字が小さいので、虫眼鏡で記事を読んでいた頃がなつかしい。
必要な記事を見つけたら、コピーをとる。そして、大事な箇所をパソコンに文字起こし。さらに、自分のコメントを書き入れてデータ化しておく。
この作業を1ヶ月ほど続けていると、参考資料が溜まってくる。本や論文を執筆するとき、この資料を付け加えていくと、作品に立体感が出てくる。
データベース
そうは言っても、過去の新聞記事を調べるのは、膨大な時間がかかる。
そこで便利なのが、各社新聞社が作成している「新聞記事データベース」。たとえば、『朝日新聞』であったら「聞蔵」、『読売新聞』なら「ヨミダス歴史館」である。これらのデータベースを大半の研究機関は導入している。
もちろん、このデータベースを使用できる公共図書館もある。東京の「千代田区立図書館」では、『朝日新聞』『読売新聞』『毎日新聞』『日本経済新聞』など過去の記事をオンライン検索できる。
それでも見つけることができなかったり、地方新聞の記事を探したいなら、国立国会図書館の「新聞資料室」を訪れる。99パーセント、見つけることができるはずだ。
ー岡崎 匡史
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。