五月病と大学

by 岡崎匡史 May 25th, 2019

blog108.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

日本の大学で教鞭をとっていた頃、気をつけていたことがある。

5月のゴールデンウィークが過ぎたとき、欠席者を出さないことだ。

大学に入りたての新入生は、4月は緊張感があり、エネルギーに満ちあふれている。

しかし、5月の連休を境に大きな分かれ道がある。大学に幻滅する者もいれば、孤独感を味わいふさぎこむ学生もいる。アルバイトや遊び漬けの毎日を送る学生も出てくる。

だから、5月の連休明けに脱落者が出ることなく、授業を再開させることができれば、きっとこのクラスは1年間大丈夫だろうなと確信を持てる。

関係性を構築する

雰囲気のよいクラスにするには、どうすればよいのか?

見ず知らずの学生同士に、新たな関係性を構築させるにはどんな方法があるのか?

まず、最初のクラスで緊張感をほぐさなければならない。

リラックスさせる簡単な方法は、学生同士に会話をするきっかけを作ることだ。

定員40名のクラスであれば、1から20までの数字を書いた出席カード(メモ用紙など)を2セット用意する。このカードを無作為に配布すると、教室内に同じ数字をもったカードの学生は2名いる。

お互いにペアとなる数字を探させ、5分間ほど自己紹介をさせる。

他己紹介

さあ、次の課題はここから。

ペアになった学生同士で、教室のすべての人に「他己紹介」をさせる。

「自己紹介」ではなく、お互いにお互いを紹介させるのである。

知り合って間もない人を、クラスのみんなに紹介する。だから、相手のことを深く知らなくてはならない。

ここで、再び時間をとって、学生が互いのことを真剣に知り合うよう仕向ける。

そして、本番の「他己紹介」を迎える。

相手の魅力を引き出し、喜ぶような紹介をしなくてはとプレッシャーがかかる。笑いをとりにいく者もいれば、照れながら真面目に話す学生もいる。教室の学生もいずれ自分の順番が回ってくるので、人の話に耳を傾ける。

「他己紹介」をすると、クラスの雰囲気が明るくなり、どことなく風通しがよくなる。

学校現場だけでなく、新人研修や初対面同士での会合などで、「他己紹介」をしてみてはいかがであろうか。きっと、新たな気づきがあるはず。


ー岡崎 匡史

この記事の著者

岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。

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岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。