辞書と家庭教育

by 岡崎匡史 March 30th, 2019

blog101.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

「お母さん、これな~に? どういう意味? なんで?」

ホームステイをしていたとき、子どもが親を質問攻めにしていた。

このとき、母親はどう対応したのか?

ある、美しい光景に出くわした。
子どもと一緒に、辞書を引きながら調べていたのだ。

欧米の中流家庭なら、リビングに大辞典が置いてある。

子どもが知らない単語やわからないことに出会ったさい、辞書を引いて教えていたのだ。母親は、簡単に子どもに「答え」を教えないのである。

私だったら、忙しいからGoogle先生にお願いしてしまうかもしれない。

たしか、Appleの創業者スティーブ・ジョブズは、自分の子どもにIpadやIphoneなどのデジタル器機をなるべく使わせず、使用時間を規制していたという。

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故ジョブズの家(スタンフォード大学近郊・庭にはリンゴの木が植えられている)

エミール


18世紀フランスの啓蒙思想家ジャン・ジャック・ルソー(1712~1778)の教育論『エミール』は、教育者にとって必読書となっている。

『エミール』では、子どもが理解できない話を無理にしてはいけないという。

なぜなら、子どもは「自分にはできないことがわかったあとでなければ、けっして他人の助けを借り」ようとはしないからだ。

子どもは知らないことに突き当たったときは、「何もいわずに長いことかかってそれを調べている」ので、「やたら人に質問するようなことはしない」。

そして、子どもの「好奇心が十分それにとらえられていることがわかったとき、何か簡単な質問をして、それによって問題を解決する道を示してやるようにするがいい」と、教育の核心をついている。

大辞典の効用


なぜ、リビングに大辞典が置いてあるのか?

それは、「大は小を兼ねる」からだ。

小さな辞書は持ち運びには便利かもしれないが、大辞典に勝るものはない。情報量が格段に違う。

電子辞書ではなく、あえて不便さを求めることで堕落を防げることができる。流し読みをしなくなる。

親が子どもに「問題を解決する道」を示す方法が、辞書の使い方を教えることである。親から子どもへ、「自ら解決する方法」を伝授することで、子どもが自らの手で学び成長してゆく。


ー岡崎 匡史
PS. 以下の文献を参考にしました。
・ルソー『エミール 上巻』(岩波書店、1962年)

この記事の著者

岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。

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