黄河をめぐる地政学

by 岡崎匡史 April 7th, 2018

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研究室より

中国で長江に次ぐ第二の大河・黄河は、総延長5,464kmを誇る。
長江と同様にチベット高原を源流として渤海湾にまで達する。


暴れ龍


洪水と氾濫が頻繁に起こる「黄河」は、「暴れ龍」とも呼ばれる。

「龍」は中華民族の象徴である。古代の中国人は、広大な大地に浮かびあがる虹に、両頭の巨大な蛇が大地の水を飲む姿を想像し、雲を引き裂く稲妻を金色の蛇が風雨と共に乱舞していると思い描いた。龍は荒れ狂う大河と共に生き抜いてきた中国人の文化を象徴している。


中国人にとって「暴れ龍」が引き起こす黄河の大洪水ほど恐ろしいものはなく、「河の清きを俟つに、人寿は幾何ばかりか」という溜め息が出るほど、「中国の憂い」である。

黄河断流

1972年、黄河に異変が起きた。黄河に水が流れなかった。
とりわけ異常な1997年の断流日数は226日間。

華北平原の洛陽市から山東省の利津流量観測点までの約800kmのうち704kmが断水に見舞われた。大規模工場や農場で、大量に水が使われたからである。


砂漠化

中国大陸を流れる黄河に砂漠化が進んでいる。

北京は1980年代に人口が2,000万人を超え、水不足に陥る。
生活用水・飲用水だけでなく、改革開放路線によって誘致された企業からの工業用水の需要も増加した。

中国の南方地域は降水量が多く水資源が豊富だが、北方地域は降水量が少ない。

北京の急速な都市化・工業化の流れで北京市民の水使用量は増大し、北京市民あたり平均して一日260リットルを使用している。


ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
蘇暁康編『黄河文明への挽歌』(學生社、1990年)
浜田和幸『ウォーター・マネー「水資源大国」日本の逆襲』(光文社、2008年)
福嶌義宏『黄河断流』(昭和堂、2008年)
上田信『大河失調』(岩波書店、2009年)
橋本淳司『世界が水を奪い合う日・日本が水を奪われる日』(PHP研究所、2009年)

この記事の著者

岡崎匡史

岡崎匡史

日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。

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