科学的精神の欠如
文部省が発見した日本人の弱点は5つ。
⑴ 「日本はまだ十分に新しくなりきれず、旧いものがのこっている」
例えば、「自動車が走っている道路の片隅で、手相をうらなってもらう人々もいるのである」。
なぜ、日本は十分に新しくなりきることができなかったのか。
1868年の明治維新以来、「日本は汽車や汽船や電気器具を使うことは学んでも、それらを作り出したところの科学的精神そのものは、まだ十分に発展させていない」。
それどころか、「日本人の精神の方がすぐれていると思う人々すらあった」。
これは「大きなあやまち」であった。
というのは、こうした誤った考えを持った人々が国民の指導者となって、
「西洋の文化を軽んじ、その力を低く見て、戦争をひき起こし、国民もこれにあざむかれて戦い、ついに敗れたのである。そこに日本の弱点があり、国民の大きなあやまちがあった」。
教育のアメリカ化
かつて、学徒の好奇心を「危険だ」と退けた文部省は、「科学的精神」と「勝利」を同一視した。アメリカは、科学的精神と勝利を代表する。
文部省は、「われわれは日本国民の長所である包容力、同化性をもっとよくはたらかせて、西洋文化をその根本から実質的に十分取りいれ、それを自分のものとして生かすようにつとめなくてはならない」と教師たちを励ました。
安倍文相は、アメリカ教育使節団に日本の教育をアメリカ化しないで欲しいと懇願したが、この願望は文部省内でも無視された。
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。