教育の地方分権化

by 西 鋭夫 August 21st, 2016

六・三制の導入


「文部省は、日本人の精神を抑制した者たちの権力の座であった」と、教育使節団は断言し、「その行政支配を縮小すべきだ」と提案した。

「全国的な教育政策」は、最早存在してはならなかった。

教育使節団は地方分権化の具体案を挙げている。

⑴ 日本の軍国主義から生徒を断絶させるため、「勅語・勅諭の奉読や御真影の奉拝は廃止すべきである」。

⑵ 「義務教育年限を六年から九年間に延長すべきだ」

日本政府は賛成したが、多額の費用を要するこの六・三制実施のための予算措置については、お手上げだった。


教職員の組織化


⑶ 民主主義を教えるために極めて重要な機能を果たす教師は、「その地位を保障され、相応の給与と適切な退職規定を持つべきである」。

しかし、破産に瀕していた日本経済に信頼を置くものは、誰一人いなかったために、教育使節団は「教師は、教師自身の福祉の増進を実現するために、市町村、都道府県および国単位で、自発的な組合を組織すべきだ」と提案した。

使節団が来日する前に、既に二つの教員組合が、互いに中傷しあっていた。このため、教育使節団は「経済上の要因は重要であるが、最重要というわけではない」と予防線を張る。


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日教組結成大会の様子


何が最重要なのか? 

「考え、語り、行動する自由だ」。だが空きっ腹では、行動するにも体の自由が利かないのではなかろうか。


この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。