教育使節団様のご高説

by 西 鋭夫 July 25th, 2016

希望と刷新の源


使節団は、「報告書」の冒頭で、

「我々は、いかなる民族、いかなる国民も、己の文化的資源を用いて、自国のため、また、全世界にとっても有益なモノを創造する力を持っていると信じている。これこそ自由主義の信条である。我々は画一性に心服していない。それどころか、教育者として絶えず、個人差、独創性、自発性に心を配っている。これが民主主義の精神である。我々の制度のうわべを真似られても嬉しくはない。進歩と社会進化を信じる我々は、希望と刷新の源として世界中で文化の多様性を歓迎する」

と宣言する。


自由と民主主義


使節団は「自由主義」と「民主主義」の意味を明確にしようとする。

「我々は自分たちが苦労して鍛えあげてきた体験から、あえて日本に説教をしたい。どのくらい禁止されるべきかということより、どのくらい許されるべきかということを見出していくのが権力を持つ者の責任である。......これが自由主義なのである」

「民主主義は偶像崇拝ではない」

「民主主義は、人間の解放されたエネルギーを多様な形で発揮させるのに最も有効な手段である」


雄弁な使節団


教育使節団の抽象的な雄弁は、まだ続く。

「教育は、真空の中で進むことはできない。また、国民の文化的過去と完全に絶縁してしまうことも考えられない。現在のような危機にあっても、継続性を失ってはならない」

継続性を見つけるため、「人道的な理念や理想として残していく価値のあるものを発見するために」、日本の教職者全員が「日本の文化的伝統を分析しなければならない」。

この分析から、新しい日本に対する「忠誠心と愛国心、真に心から感じ得る基盤」が発見できると断言した。



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この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。