永久占領

by 西 鋭夫 February 21st, 2016

永久平和の夢物語


日本国民は、第9条は自衛のための戦争を否定するものではない、と言い出した「全能マッカーサー」も誤りを犯す一人の人間として見ることができた。

大きな戦争が終わり、戦場で輝かしい偉業を成し遂げた征服者が、敗戦国の瓦礫と化した首都に立ち、自分が想像できる最も理想的な憲法を綴り、永久平和の夢を書き込んだ。

この夢は、生後1164日にして厳しい現実に晒され、崩壊した。

第9条は、マッカーサーの亡霊が戦後日本に呪いをかけるかのように、

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」

とつぶやき続ける。


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マッカーサーの呪縛


この意味不明の日本語ゆえ、マッカーサーの呟きが一層恐ろしく聞こえるのだろうか。

 
第9条の非現実性が明白になっている今でさえ、「富国日本」はマッカーサーの呪いに縛られ、身動きもできず、かつての敵軍に国土を守ってもらっている。

「占領」がいまだに終わっていないとは、このことだ。第9条があるかぎり、「戦後」も終わらない。



「自衛本能」の放棄


私が何故これほどまで強く第9条に反対意見を突きつけるのか。第9条は「平和の美徳」や「戦争の悪」という「善悪の問題」以前の問題であると思うからだ。

第9条は、「生きる本能」、命を護る「自衛本能」を否定する。

第9条は、男が女や子供を護る「本能」を「悪」とする。親が子を護る、子が親を護るという「生命」の自然な「本能」を、「戦争」「武力の行使」と卑下した幼稚な空想が第9条。



この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。