日本は民主主義の実験場
マッカーサーによれば、このように無知な日本は「全体主義および軍国主義支配から国民を解放し、そして、政府を内部から改善する世界一の、絶好の実験室となった」。
日本列島大改革が始まる。
「第一に、軍事力を破壊せよ。
戦争犯罪人を処罰せよ。
議院内閣制を確立せよ。
憲法を近代化せよ。
自由選挙を行なえ。
女性に選挙権を与えよ。
政治犯を釈放せよ。
農民を解放せよ。
自由な労働運動を確立せよ。
自由経済を奨励せよ。
警察官による弾圧を廃止せよ。
自由で責任ある報道を発展させよ。
教育を自由化せよ。
政治権力を地方行政化せよ。
宗教を国家から分離せよ」
精神革命
マッカーサーは、「日本の降伏」を軍事的敗北だけでなく、「信仰の崩壊」と見た。
「この崩壊により、日本国民の中に道徳的、精神的、さらに肉体的にも完全な空白が生まれた。この空白状態の中に民主主義を注ぎ込んだ」と言った。
マッカーサーの言う「民主主義」とは、「アメリカの政治、社会文化および経済体制」で、「ほぼ200年近くもの間、相次ぐ戦争の危機と平和のなかで勝ち取られたものであり、あらゆる試練を通して、他のいかなる政治哲学よりも健全であることが判然(はっきり)証明されたもの」だった。
「アメリカ民主主義の純粋性は、誰にとっても疑いのないところだ。それは全ての人種と文化をひとつの社会に纒(まと)めたアメリカの経験で示されている。この精神を大切にする者は、より高い威厳のある目的へ向けて向上する」
「日本人がこの精神を受け入れれば、この生き方を固く守り、慈しみ、大切にするようになる」「なぜなら、ここに日本の救いがあり、ここに日本の平和と幸福を得る機会があり、ここに文明の遅れたアジアの人々が、より高い文明を作れる希望があるからだ」
1947年3月の記者会見で、マッカーサーは「もしあなた方がアングロ・サクソンの民主主義を信じるのなら、その民主主義はこの地に根付こう」「私は心から、絶対にこの地に根づくと信じている」と断言した。
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。